@article{oai:doshisha.repo.nii.ac.jp:00019976, author = {桑木, 小恵子 and Kuwaki, Saeko}, issue = {1}, journal = {同志社政策科学研究, Doshisha University policy & management review}, month = {Aug}, note = {近年、わが国では、資金調達手段が多様化しており、特に資産流動化・証券化証券(以下、証券化商品という)の増加が顕著である。証券化商品は、市場型間接金融を進めていくうえで期待されており、資金調達者や投資家にとってのメリットに加え、金融システム全体にとってもメリットがあるといわれている。しかし、資産流動化証券は往々にして複雑なスキームで設計されている場合が多いため投資家に容易に理解できるとは言い難く、投資家保護の観点から 開示制度において資産内容の的確な情報開示の整備が課題として捉えられる。わが国の証券化市場における発行額が増加しているとはいえ、米国と比較すると市場規模が格段に小さいく、プライマリーマーケット(発行市場)のみであり、セカンダリーマーケット(流通市場)は存在していない。翻して見ると、投資家は、購入した有価証券を償還まで持ち続けなくてはならないという流動性リスクがある。しかし、このまま、流動性を確保しない状態を続けていると、市場を通しての効率性は達成されず、証券化市場の発展を阻害する恐れがある。このように、資産流動化証券のセカンダリーマーケットを発達と継続開示の充実が喫緊の課題である 2001年に世界を震撼させた「エンロン経営破綻事件」は、情報開示の法的な規制の遅れを巧みに利用し、投資家に大きな損失を与えるという事態を引き起こした。そこで、本稿では、 エポックメイキングとなったこのエンロン経営破綻事件の前後の米国、日本の資産流動化証券の開示制度とその変遷に焦点を当てて論じることにする米国においては、エンロンやワールドコムの経営破綻事件以前まで、資産流動化証券による資金調達の市場規模の拡大に開示制度が追いついておらず、統一された開示制度は存在していなかったが、この経営破綻事件を重く受けとめ、異例のスピードで企業改革法(Sarbanes-Oxley act:SOX法)、及び「Regulation AB 」 を施行し開示制度に対し改善を施している。ABS(資産流動化証券)に関連して特に注目すべき2つのポイントは、○i 分配と裏付資産プール情報のためのレポートとして「Form 10-D」を月次報告とし、○ii 発行者をこれまでの「SPE」ではなく資産の状況をより把握している「デポジター」とし開示義務を課したことである。このようなABSの実態により近づいた情報開示を整備されたことは、わが国においても参考に値するものである。わが国では、米国と比較すると市場規模は格段に小さいが、開示制度についは米国より早く手当てされており、「資産の流動化に関する法律」による特定有価証券に対し、資産流動化証券の特殊性に応じた開示情報に重点が置かれ、「特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令」が用意されている。しかし、実際に利用されている資産流動化証券の多くは、特定有価証券に該当しない場合が多いこと、特定有価証券に該当するか否かの基準が明確でないこと、及び 一般信託受益権や日本の開示規制が及ばない海外目的会社を用いたスキームで組成され開示情報が提供されていないという問題がある。今般、証券市場全般に対し開示制度に対する改善策として、証券取引法が「金融商品取引法」に改組され投資家保護ルールの徹底を目的に開示制度が整備れた。これに伴い特定有価証券の定義が明確にされたが、資産流動化証券の情報開示の制度に目を転じると、特定有価証券に該当しないスキームで発行された証券は、その特殊性を持ちながらも企業開示と同様の開示情報しか提供されないという立場は引き継がれたままである。また、実務において、資産流動化証券のスキーム上資産の状況をより把握しているのは、オリジ ネーターやサービサーであり、SPEが複雑な裏付資産(開示様式では管理資産呼ばれている)に対し開示能力を充分に有するのかが疑問である。こうした状況を鑑みると、裏付資産の情報開示の充実にいたるには未だなお課題は少なくない。本稿は、筆者の「資産流動化証券の情報充実」という最終課題にむけた研究のため、わが国における資産流動化証券の情報開示制度と米国の制度を概観したものである。ここで、浮き彫りとなってきた問題点を今後の課題としていきたい。, 研究ノート(Note), application/pdf}, pages = {143--161}, title = {資産流動化証券の情報開示制度と今後の課題}, volume = {9}, year = {2007}, yomi = {クワキ, サエコ} }